カンジダが腸で増殖すると喘息をおこすワケ
喘息(ぜんそく)は、気道がアレルギーなど炎症によって敏感になり、けいれんを起こして狭くなることで起こります。一般病院の治療は、ステロイドで炎症をおさえたり、気管支拡張剤といった対処療法しかないのが現状。
その原因のほとんどがアレルギーといわれていますので、喘息は免疫疾患の一つ。免疫と言えば「腸」ですから、やはり腸の状態が喘息にかかわっているだろうな~という事は想像できますよね。栄養療法にくる患者さんたちはほとんどのケースで腸が悪く、幼い頃から喘息持ちという人も珍しくありません。
腸内細菌のバランスの乱れが、アトピーや喘息を引き起こすことは認知されつつありますが、実際はそのメカニズムは詳しく解明されていませんでした。
しかし今回は、「腸カンジダが喘息を悪化させる」という研究を読んだので紹介したいと思います。米国ミシガン大と筑波大の共同研究で、米国科学誌 cell host microbe に公開されたものです。
なぜカンジダが喘息などのアレルギーを起こすのか
ではどのように、喘息を悪化させるのか? 要約して箇条書きにしてみます。
- ある種の抗生物質服用により、腸管内でカンジダが増殖
- カンジダからプロスタグランジンE2が産生され血液を介して肺に到達
- 腸内でプロスタグランジンE2がM2型マクロファージを増加させる
- 増加したM2型マクロファージが喘息などのアレルギー炎症を悪化させる
難しい名前が色々出てますが、ざっくり言えば、カンジダが炎症をおこす物質(プロスタグランジンE2)を産生しているという事です。
プロスタグランジンは、ヒトも体内で作っています。例えばウィルス感染したときに発熱(炎症)を起こして病原体をやっつけますが、その時に合成されるのがプロスタグランジンです。
つまり、カンジダが増殖していれば、必要がないのに常に炎症物質が全身を巡る事になるワケですね。そう考えると、カンジダによって喘息のみならず、どんな炎症系疾患が起きても不思議ではない。
腸カンジダの症状が、腸炎、アトピー、副鼻腔炎、湿疹など多岐にわたり、ステロイドをつかっても根本解決にはならないのも良く分かります。
もしも、これらに悩んでいたら一度は腸カンジダを疑ってみるべしです。
カンジダが腸に増殖して喘息を悪化させている場合の対処法
カンジダが疑わしい場合、腸カンジダ対策をしてしばらく様子をみてみましょう。膣カンジダを繰り返しているなら、ほぼ間違いなく腸でも増殖しています。腸カンジダのセルフチェックについてはこちらに書きました。 ⇒ カンジダ菌の増殖度を自分でチェック
カンジダの増殖は、生活習慣や食事が大きくかかわりますので、薬でスパッと除菌して解決!ってワケにはいきません。薬も有効ですが、今までの食習慣を改めないとまたすぐに戻ってしまいます。ですから、逆に言えば、自分でカンジダ除菌対策は可能(食事やサプリメントなど)なのです。
カンジダ対策についてはたくさん書いてますので割愛。こちらもどうぞ ⇒ カンジダ除菌に効く食事とは?
その他の対策として「炎症体質」を作らない事も大切。なぜ炎症体質に傾くのか?これには食事が大きくかかわります。
先ほど出てきた「プロスタグランジン(PG)」とは生理活性物質ですが、これは「食べた油」から合成されます。具体的には細胞膜の脂(リン脂質)から作ります。
細胞膜の二本足みたいになってる部分が、材料となる脂肪酸。飽和脂肪酸の足と、不飽和脂肪酸の足がありますね?この足を切り出して「プロスタグランジン」を作ります。
- 細胞の膜(リン脂質)からアラキドン酸を切り出す
- アラキドン酸からプロスタグランジン(PG)を合成し炎症反応を起こす
細胞膜は「食事からとった油」で作られます。つまり、摂取する油のバランスが悪い=アラキドン酸リッチな食事をしていると、炎症体質に傾いてしまいます。よく言う、「体は食べた物で出来ている」の典型例(笑)
アラキドン酸の多い食品は、卵、肉、レバー(きも)など。素晴らしい栄養価を持つ食品ですが、やはり偏ってはNG。適度にね。余談ですが、MEC食(ミート・チーズ・エッグ食)って、思いっきり炎症体質になると思うんですがね…。
反対に、炎症をおさえる時(抗炎症)も同じように細胞膜(リン脂質)から脂を切り出して抗炎症物質(EPA、DHA)を作ります。
下図の左が「炎症をおさえる」、右が「炎症を起こす」経路です。
食事でオメガ3系の炎症をおさえる油(αリノレン酸やEPA、DHA)が少ないと、当然細胞膜にも含量が少ないため、炎症をおさえられない体質=アレルギー体質 になります。
花粉症などのアレルギー対策では、油の摂取に気を付けるべきなのも同じ理由。アレルギー=炎症反応ですからね。時期になると、シソ油のサプリとかが花粉症対策で出て来ますよね?(シソ油もオメガ3)
オメガ3系の油が多いのはご存知のとおり青魚。オメガ3系のαリノレン酸、EPA、DHAの中で、もっとも抗炎症作用が強いのはEPAです。αリノレン酸(亜麻仁油、えごま油)を摂るのももちろん有効ですが、体内でEPAに変換が必要なので効率が落ちます。
① αリノレン酸 → ② EPA → ③ DHE
この①から②への変換率は、10%程度といわれていますのでね…(低っ)。えごま油も無駄ではないですが、抗炎症を狙うならやはり、直接EPAがとれる青魚(サバ、イワシ、アジなど)がおススメ。ナッツならクルミも良いですね。
喘息もちの炎症体質におススメの食材
しめ鯖、最高です。EPAは酸化しやすいので、できるだけ加熱しない方がいいですからね。酢でタンパクの吸収も良くなるし、唾液も出やすく消化力UPが期待できるメニュー。お腹冷えないようにお味噌汁もご一緒に。
そして、オメガ3のしっかりある細胞膜に入れ替えるには1500㎎/日を約3か月と言われています。またまた余談ですが、オメガ3が少ない細胞膜は流動性が少なく(硬い)、神経伝達がうまく行かないとか色々と不具合が出ます。頭の回転が遅いとかね。(詳しくは別記事で)
サバ100gで約1200㎎。大きめの切り身を1切食べればそこそこなEPAが取れますね。目標は1日1回魚です。マグロもなかなか多いですがもれなく水銀も摂れてしまいますのでたまに、にしときましょう。
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